Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

青矢先輩…


先輩は私の肩を抱いたまま


また外を眺めて


「これ降りたら送ってく。」


って言った


私はそれ以上何も言えなくて


観覧車が地上に到着するまで
ガラス越しに見える景色を


静かに眺めていた…





観覧車から降りて遊園地を後にして帰る途中も


青矢先輩は何も話さなかった


バイクの音だけを鳴らしながら


ただひたすら元来た道を帰ってく


先輩の背中に捕まりながら
星空を見上げると


私の心とは反対に星達がキラキラと輝いてる


昴君への気持ち

先輩への気持ち


どちらも中途半端な自分が情けなくて

また泣きそうになる


そんな気持ちのまま家の前まで送ってもらって


バイクを降り先輩に

「ありがとうございました」


ってお礼を言った


そして家に入ろうと玄関に手を掛けると


「おい。」


って呼び止められた


「はい?」


振り向くと


「明日放課後、屋上に来い」


って一言だけ口にした


「先輩??」


それだけ言うとバイクを走らせて帰って行った



明日屋上に…


何でかは分からないけど


先輩の瞳からは


強い覚悟みたいな物を感じて


行かなくちゃいけない


そんな気がした





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