Sweet〜甘クチ王子様と夏の恋〜

昴君…


壁の間に隠れていた私は


力が抜けるように座り込んだ


私はこんな風になりたくて


昴君との別れを決めたわけじゃないのに


「おい。」


不意に青矢先輩が顔を覗き込む


「先輩……」


涙声で先輩の顔をみつめる


「アイツも俺も本気だから。お前も覚悟決めろよ。」


「だけど…」


「いい加減逃げるのはよせよ。前に進まなくちゃいつまでも変わらねぇんだよ。」


青矢先輩はそぉ言って私の頭を撫でた


「萌音…俺ならお前をちゃんと幸せにしてやれる。だからもし、俺が勝ったら…俺のモノになれ。」


先輩……


いつも余裕の青矢先輩が


いつになく切ない表情で口にする



そして


私の頭からそっと手を離して


「俺、仕事だから行くな。」


って言って屋上を後にした



一人残された私は


二人の気持ちを思うと


辛い気持ちを抑え切れずに


涙を流した


こんなはずじゃなかったのに



ただ誰も傷ついて欲しくなかっただけなのに


結局自分の弱さで


昴君にも


青矢先輩にも


哀しい想いをさせてしまってる


いまさら昴君には戻れない


だけど青矢先輩を選ぶことも出来ないよ




ねぇ…私はいったいどぉしたらいいの??


お願い


誰か教えて……





「ウッ…ヒック…」


屋上で一人暗くなるまで


泣いていた……



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