永遠の絆
小さな頃、俺が、君の宝物だっていう指輪を壊したことがあった。

君は今まで見たことがないくらい大声で泣いて。

俺は不器用な手先で必死にそれを直そうとしたんだっけ。

そしたら君は笑ってくれて。

ありがとう

そう言ってくれた。

その時の指輪を二十歳過ぎてもまだ持ってるなんて、

君はベタにも程があるよ。

硝子玉は鍍金のリングに無理矢理ボンドでくっつけられていたし

飴玉みたいに安っぽい指輪は、もっと安っぽく見えてしまう。

だけど君は笑って。

「だってあなたが私のために頑張ってくれたって分かるもの」

俺は照れ隠しのように

「ボンドはみ出てるよ」

君は屁理屈だけど、と苦笑して

「ボンドって絆って意味なのよ」

だからずっと一緒に居ようね。

君の癖っ毛を撫でて、俺もうん、と呟いた。
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