【CORORS①】虹色の扉
【二】影と男達
「連れはいないの?」
「えっ!?」
突然背後からの聞き覚えのない声が降ってきた。
「こんな所で女の子一人でいるなんて誘っているとしか思えないよね?」
いつの間にか、もう一つの椅子を引き出し隣に腰掛けているのは、高校生ではなさそうね?
大人びた面持ち、ガッチリした体つきの割りにプールに似合わない色白の知らない人。
って、なんでそんなに傍に寄るのよ!?
「そんなつもりは──
キャッ」
それ以上言葉を発する事が出来なくなってしまった代わりに、小さな悲鳴のような声を出してしまった。
だって、いきなり現れたこの人の右手が腰に回され、身体を引き寄せられちゃったの。
だ、抱かれて……いるの!?
こんなの初めてで、ど、どうしたらいいのよ!?
「クス(笑)
キミ男に抱かれた事ないの?」
「そんな事、貴方に関係ないでしょ!?」
心の内を見透かされるのが怖くて、ソッポを向いた。
「気に入った」
それだけ言ったこの人は、人差し指と親指を私の顎にあて、強引に振り向かせられた。
そして──