【CORORS①】虹色の扉
皐月製菓店
「ご免下さい、若葉企画のものです」
「は~い」
店の奥から透き通った品のある声。
暖簾を潜り、藤色の着物を着た女将さんが顔を出して来た。
「太田さん、ごめんなさいね。突然お呼び立てしてしまって」
「いえ(笑) 今日は、新作でも出来たのですか?」
「まぁ、掛けてちょうだい。立ち話もなんでしょう」
「すみません」
女将さんに促され、店先の赤い布が掛けられた長椅子に座る。
此処、皐月製菓店は小さな和菓子屋。