【CORORS①】虹色の扉
海の怒り
「う~ん、気持ちいい☆」
サンダルを脱ぎ、浅瀬の海に足だけを浸からせる。
― ザザン ザザン
穏やかな波が引いては寄せ、足元をすくい、周りには小魚たちが戯れる。
「本当に何処までも青いのね」
地平線の先に目を移すと吸い込まれそうな青い海が続いている。
こうしていると、自分がすごく小っぽけな人間に想えてくるわね。
生温い風が頬をなでる。
「蒼空(ソラ)に謝らなくちゃ」
謝ったところで、戻れる保証はないんだけどね。
蒼空。――ついこの間まで私の隣にいた人。
怒りっぽいけど、優しい時もあった4つ上の彼氏……だった。
いつものようにケンカして、勢いで“別れる”って言って飛び出して来ちゃったの。
いつもなら、直ぐに追いかけて来てくれるけど、……追いかけては来なかった。
だから
私もそのまま逃げるようにこの海までやってきた。
甘えて……いたんだよね?
どんなにケンカしても、絶対に許してくれる
勝手にそう心の中で決めて。