【CORORS①】虹色の扉

 しばらく歩くと、黒い固まりが見えてきた。

 更に近付くと足から首までスッポリと覆われたウェットスーツの人たちの集団というのがわかった。

 その中の一人、抜群に優れたプロポーションの――

 千暁さん?


  ササッ ササッ ササッ


 静かなこの島に、私の足音が響き渡る。


 「あら、もう歩いて大丈夫なの?」

 足音に気が付いた千暁さんが振り返って声をかけてきた。


 「はい、お陰様で」

 「良かった♪ ところで、貴女の名前聞いてなかったわね」

 「七海です」

 「あ、ごめんごめん」


 そう言った彼女は、ペロッと舌をだした。


 あ、この顔リキと同じだ。って、姉弟だから当たり前よね?


 「七海ちゃんもやる?」

 「何をですか?」

 「ダイビング♪」
 
 「えっ!? でも……」

 「大丈夫、教えるわ♪」

 
 千暁さんの美人スマイル&ウインクなんてされたら、断れないよね?
 
 ただ、問題が一つあるのよね

 実は、私カナヅチ。

 プールで浮く事すら出来ない重傷なもの。

 だから、いつも海に来ても波打ち際に足を浸けるだけ。




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