【CORORS①】虹色の扉
海色の兆し
その私が今、浅瀬の海で特訓中。
「大丈夫よ、水は怖くないから。人はね絶対に浮くように出来ているんだから♪」
――ブハァ
そうは言っても……苦しいです。
私にとっては、水は……魔物なんです。
人魚のような千暁さんが羨ましい。
よしっ!!
彼女の姿に後押しされるように気合いを入れる。
「あぁ、ダメダメそんなに力入れたら。もっと肩の力抜いて」
「こうですか?」
「そう、そんな感じ。今日はここまでね♪」
「はい、ありがとうございます」
レッスンを終え、ラフな格好に着替えた千暁さんは、誰かと電話で話していた。
「お店? そっちは大丈夫よ。アンタ一人くらいいなくたって切り盛り出来るから♪
アハハ(笑)
……そうよ。しっかり頼んだわよ」
電話を終え、前髪を掻き分けながら戻ってきた。