俺と葉月の四十九日
ワガママ女
「お帰り〜圭ちゃん」


自分の部屋のドアを開けると、女がベッドに寝転がってマンガを読んでいた。


…アレ?

そのままドアを閉めた。
とりあえず廊下で考えてみる。


今、女が居たよな?
お帰り〜って、制服…うちの学校の女子の制服だった。

白のポロシャツに紺のプリーツスカート。



…待てよ。

あの女、圭ちゃんって呼んだよな?
俺の名前は三谷圭介…正しい。


違う。

俺を「ちゃん」付けで呼ぶ女は、ただ一人だけだ。
ガキの頃からの…幼なじみの…。


「――〜安田あぁ?!」
「なぁに?圭ちゃんってば大声出して」

再びドアを開けた。

俺の部屋、俺のベッド、俺のマンガ…そして、そこに居るのは…笑顔のこの女は……。


「お葬式どうだった?みんな泣いてた?」
「▲〇☆?!?!」

声にならなかった。
それどころか、生まれて初めて腰が抜けた。

何でこいつがここに居る?!
何故に俺の部屋でくつろいでマンガ読んでる?!

安田葉月…間違いなく安田だ。
幼なじみだ、顔は忘れ様が無い。

しかも俺、たった今こいつの葬式に行って来たよな?これは…どう考えても間違いなく…。



「ユーレイ?!!」
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