Betrayer
joiner〜仲間となる者


ルブラでの宴を終え、私たちは早くも次の町ガルに向かっていた。
ガルはルブラから更に南東の町で、その間は商人たちの旅路であるため街道が整備されている。
所々に美しい木々が植えられ、実に清々しい気分だ。
そんなわけで、ここからはしばらく徒歩での旅となるわけだが…



「き、きもちわりー…」



先程から5歩進むごとに喚いている黒髪に目をやる。
実にこの美しい背景に似合わないその姿。



「だから言ったじゃない。飲み過ぎないように注意なさいと。」

「仕方ねーだろ!ルブラのみんなが酒勧めてくるんだから!!だいたい宴の次の日に出るなんて俺は聞いてな…」

「ちゃんと言ったわ。」

「…はい、すみません。」

私はまた前を進み始める。
だが黒髪がこのスピードでは、到底今日中に着くはずだった街道の宿には着くことができない。

「レイ〜頼むよ〜…すぐそに湖が見えるよ…そこで今日は…頼む!!」

とうとううずくまってしまった二日酔いの勇者の言う通り、確かに前方に湖が見える。

はぁ…仕方ないか。

「解ったわ。仕方ないから、今日はあの湖の畔にテントをはって、明日に備えましょう。」

「本当か?!よっしゃー!」

途端に立ち上がって湖へ走り出す。
その元気があるなら、大丈夫では?と思いつつ、後に付いていった。
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