―偽愛―



何時間 寝ていたんだろ



目が覚めると 外は真っ暗で



セミとは違う虫が鳴いていた



リリリー リリリー



下で電話がなる



“広海!優人クンから…”



オカンが家中 響き渡るぐらい デカい声でアタシを呼ぶ



“分かった”



ワンピースを出し、急いで着て 下におり電話の受話器を取る



“もしもし…優人”


“元気してる?広海のお母さん相変らずだね…明日、昼ぐらいに行けると思うんだ…”



“じゃあ…一緒に海入れるネ 楽しみにしてるネ…”



“俺も楽しみにしてるから… だから早く寝るんだよ。広海は寝ぼすけ、なんだから…”



“うん。分かった…じゃあ寝るネ…気をつけて来てネ おやすみ…”



“おやすみ”



短い電話



アタシと優人の電話は いつも短い



用件だけ言って 終り



本当はたくさん話したいけど いつも優人は仕事ばかりだから



アタシ 優人の前では





カワイイ女の子




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