mixed Emotion

蝶の旅立ち

3現目の世界史の授業中、携帯のバイブレーションが機能した。背面表示には「つかさ君」の文字。
とっさに私はメールのマークが書いてあるボタンを押した。

『今日も美玖ちゃんの家に行くの?』

つかさ君は美玖の事も、理香ちゃんの事も、呼び捨てにはしない。私としか連絡を取り合っていないのだから当然かもしれないが、それがいつも無性に嬉しい。

『そうだよ』

私は地図帳を机に立て、先生の目を盗んでメールを打った。

数分後、またすぐに携帯が震えた。

『その後、遅くてもいいから、会える?』


…会える…?


つかさ君が私に会えるかだって。
何だろう。何だろう。

こんなの初めてだ。

私は何回もそのメールを見返した。


美玖への罪悪感に苛まれながらも、はやる気持ちを押さえられず、

『いいよ』

とだけ文字を打ち、私は送信ボタンを押した。
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