キミは許婚


あたしが答えられず俯いていると、様子を見ていた聖がこちらへゆっくり歩いてきた。



「明、何やってんだ。すみません……手は汚れませんでしたか?」



聖はテレビ用の社長キャラで哲太にハンカチを差し出した。



「いや、大丈夫です……ってまさか上条社長!?」


「あ、嬉しいなぁ……わかっていただけるなんて」


「わかるも何も有名人ですよ! 

髪型がいつもと違うんでわかりにくかったですけど……どっちもかっこいいです!」



哲太は生で見る有名人に嬉しそうに目を輝かせている。



それに引き換え、あたしは別に悪いことをしているわけじゃないのにすごく落ち着かないし気まずい。
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