キミは許婚
外は騒がしくなり始めたけど、閉め切られた観覧車の中はとても静かだった。
「ち、ちょっと聖! なんでこんなことしたのよ! 哲太も彼女もびっくりしてたじゃない!」
頂上を目指して動く観覧車内で聖に詰め寄る。
聖は申し訳ないという気持ちが全くないのだろう、小さくため息をつくと、窓に肘をかけてその手に頭を置いた。
「なんでこんなことしたかって?……お前、自分でわからないのか?」
「わからないって……何のことよ。言ってくれなきゃわかんないよ」
「……顔」
「顔?」
呆れながら言い放った聖の言葉を疑問に思いながら頬に手をやる。
そして初めて気付いた。
……自分が泣いていたことに。