キミは許婚


あたしは「そっか」と頷くことしかできず、新鮮なお刺身に箸を伸ばした。


おいしいはずなのに……味がしない。


聖が背負ってるものの大変さ。


立ち向かってるものの大きさを思うとため息もでる。



そんなあたしを見て、当の本人である聖はニヤリと笑った。



「やっとお前にも社長の妻という自覚が出てきたか」



聖の言葉にむせたのは言うまでもない。



「ゴホッ……な、何それ! まだ妻じゃないんだけど!」



お茶で喉を整えながら反論する。



「まだ妻じゃないって言ってるあたり自覚出てきたな。いい傾向だ」



聖様、ご満悦。

あたしはまたむせ返る。
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