キミは許婚


二人で、寒くもないのに不安で震える身体を寄り添いながら、父の検査が終わるのを待った。


かなりの時間が経ってから、ベッドに横たわり、身体にたくさんの管を付けられた父が運ばれてきた。



「お父さん!」



母が勢いよくベッドに飛びつこうとしたのを医者が制す。



「落ち着いてください。意識はまだ戻ってません」


「そんな……先生! 意識は戻るんですよね?」



母は先生にしがみついて、いつもののんびりした母からは想像ができないほど、必死に聞いている。



「まだ何とも言えません。原因は過労ですが、過労でも症状は人によって違いますから」



言葉を濁したまま医者は父を連れて病室へ消えて行った。

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