キミは許婚
キッチンに入らなくても、廊下までお肉の焼けている匂いやソースの匂いが漂っている。
「いい匂い……!」
胸いっぱいにその匂いを吸い込み、今日の料理はなんだかすごそうだと想像を働かせた。
それから部屋に戻り、荷物を置いた後、やっぱり料理が気になってキッチンに少し顔を出すことにした。
入口の影からこっそり顔を覗かせる。
母は真剣に料理をしているから、あたしが覗いていることにまだ気づいていない様子。
出来た料理に目をやると、クリーム色に輝くスープにサーモンのサラダ。
お肉はどうやらオーブンの中のよう。
不思議なムースにエスカルゴも見える。
他にも遠くに置かれている皿には料理が盛られていた。