キミは許婚


何……試すって?



もう料理を食べる手なんか完全に止まってる。


あたしの神経は今、耳に全て集中していた。



「いや、実は逃げただなんて思ってないんだよ。評判は常々聞いていたからね」


「ちょ……!」



ちょっと! それならあたしに情報ちょうだいよ!


言いたくても喉から声が出てくれない。



口をパクパクさせるあたしをよそに、父は話を続けた。



「副社長になって随分営業に出ていたようだね」


「えぇ……初心を取り戻せたようです」


「社員の信頼も厚く、今度の株主総会で社長に返り咲くと言った話も小耳に挟んだのだが……?」



そうなの……!?


じゃぁ……聖、新会社設立しなくても社長になれてたんじゃん!

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