キミは許婚
モヤモヤした気持ちのまま、あたしも聖特製のコーヒーを口へ運ぶ。
…………苦い。
普段ブラックでなんか飲まない。
聖はちゃんとミルクと砂糖を用意してくれていた。
それなのにそのことにさえ気づかない、
ううん、
それ以上にミルクと砂糖を入れてコーヒーを飲む、という意識さえ忘れていた。
「さ、砂糖……」
手元を探り、やっと見つけた砂糖を何杯入れたかなんて数えないままとにかく入れた。
苦さが目にしみる……なんてことあるんだ。
どうしよう、ミルクを探す視界がにじんできたよ。
ポタリ。
コーヒーに一つ滴が音を立てて落ちた。
「……明?」
聖が心配そうな声で顔を覗き込んできたけど、その表情は視界がかすんでいて窺い知れない。