キミは許婚


空いた片手で上条さんを押しのける。


携帯に気を取られていた上条さんは簡単にバランスを崩してくれた。



「……っと!」



携帯は上条さんの長く骨ばった指から滑り、音を立てて床に落ちた。


そして上条さんは鳴り続けるそれを拾い上げながら軽く舌打ちをして、逃げたあたしを見てくる。



思った以上に神経と力を使ったのか、ベッドから飛び降りただけだというのに息がうまくできない。
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