―ユージェニクス―
「ちょっとあんた達、一体何に怯えてるの?」
茉梨亜は訳分かんないという顔で男達を見上げる。

「バカってめぇだったら分かるだろ?!前にコィツを俺らでやった時!コィツってばビョーキ“持ってた”らしくて……」
「やってる最中おかしくなってすぐやめたんだ!」
「それから一ヶ月ずっと俺達のはパンパン!やりたくてもなーんも出来ねえ!」

「誰彼構わずやってるからそんな事になるのよ…………」
「だよねーボクもそう思う」
「うるせェ!!」
呆れ顔の茉梨亜と笑っているシティリアートに男達は吐き捨てる。

「ケッあぶねーあぶねー危うく俺達が侵されるとこだったじゃねーか」
「ずらかれっ」


男達は冷や汗を拭い、どこかへと足早に去っていった。








「……はぁぁぁ」

「危なかったね…大丈夫?」

ヘタヘタとその場に座り込んだ茉梨亜に、シティリアートが心配そうに駆け寄る。


「う、うん大丈夫よ…ところでさっきの、“持ってる”ってあたしもビョーキ持ってるって事??」
「あ、うぅんあれは嘘、君は持ってないと思うよ」

苦笑しながらシティリアートに差し延べられた手を握って、茉梨亜はゆっくりと立ち上がった。

「そっか…助けてくれてありがとう、えーっと…シテリ…?」
「シティリアート。シアでいいよ」
言って、シティリアートは茉梨亜を見上げ微笑む。

「シアね!私は新庄茉梨亜。これから家に帰ろうってとこだったんだけど……散々だわ」

昨日今日の出来事を思い出し、茉梨亜はガックリと唸垂れた。

「散々?」
「そうなの聞いて!昨日ってば私白の怪物に会ってね!怪我させられるわ気を失うわ診療所で変な医者に会うわさっきの男達に出くわすわ……」

「茉梨亜、白の怪物に会ったの??」
「そーなの!でも私の目の前で捕まったけどね」

「…え?」
シティリアートは目を丸くした。
「だからもう安全よ!」
まぁ白の怪物に関しては…だが。

「そう、なんだ……」


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