空の姫と海の王子
今まで世話になったな?
そんな言葉もらったって
ご飯にもならないし
お金にもならないし
恩を仇で返された
ってやつ??
「ふ、ふざけんな!!!」
バコオォォォン!
履いていたカエルさんスリッパを
玄関ドアに投げつけてキッと睨み付ける
「知るかバーカ!あたしだってお前の面倒なんか願い下げだ馬鹿野ろ………」
不意に、いい匂いが鼻をくすぐる
コトコトと音をたてるのは小さな鍋
恐る恐る蓋を開けると
ブワッと溢れる白い湯気と
煮込まれた野菜の優しい匂い
「……ポトフだ」
大きめに切られた野菜にチキン
ジャガイモに箸を伸ばして
少し冷ましてから口に入れた
「……っ!」
カラン、と箸が床に落ちる
口元を押さえたひかりの目からは
ポロポロと大粒の涙が零れ落ちる
胸に渦巻く感情は大きすぎて
酷く不安定で抑えるのが精一杯で
「あいつ……」
掠れた声が出せた頃には
突然溢れ出た涙も
胸に渦巻く感情も消えていた
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