空の姫と海の王子


それぞれの心に秘めた想いは強い

互いに譲れない想いを抱きながら

戦いは加速していく


春は青々と広がる空に両手を伸ばした

もう後戻りは出来ない
これを最後の戦いにしてみせる

戦いが起こらない世界に変えてみせる

人間も精霊も、勿論葵も
みんなが笑って過ごせる世界に


覚悟を決める春の横で
葵も自分の手のひらを見つめる


少しずつずれ始めた世界は
何時の間にか壊れてしまった

なら完全に壊せばいい
そしてまた初めからやり直せばいい

そんな考えはやめた

春となら出来るかもしれないのだ
この世界を壊すことなく救うことが

その為には"奴"と話す必要があるだろう


「話の通じる奴とは思えないけどね…」


小さく溜め息をついたあと
気持ちを切り替えて
ポケットから通信用の水晶を取り出した


「全員指定の位置につけ。春の攻撃が始まりの合図だ。」

「今回は新たに配布した銃の使用のみを認める。能力者に当たれば精霊の力を封じることが出来る…が、相手も本気だ。覚悟のある者はいつもの武器を持て、命が惜しい者は援護に回るか負傷者の治療に回れ。」

「目指すはビルの制圧。お前達なら出来ると信じている…では、」


葵が春とリベルに目配せをすると
二人は力強く頷き、春は両手をビルに向けた


「ーー作戦、開始。」


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