空の姫と海の王子


一瞬胸が詰まった

一呼吸置いて、言った


「…した。知ろうとした」


だけど、分からなかった

ハルは俺に教えなかった


「無理にでも吐かせようとしたのか?」

「しねえよ!」

「当たり前だ馬鹿者。そんな事を春にしたら、お前を魔界の底無し沼に落としてやる」


じゃあ聞くなよ!!

カイトがチッと舌打ちをすると
サラは大きな溜め息をついた

カイトは視線をハルに戻した

ナナとリクと一緒に砕け散った
空の鍵を拾い集める間も
ハルは海の鍵を離さないでいた


また、胸が詰まった


「……無理にでも聞くなんて、できねえ。春が言ってくれるまで、心の整理がつくまで待つ」

「私はそんな綺麗事を聞いているんじゃない」


カイトの前にサラが立った


「お前が今、何をしたいのかを聞いているんだ」


力強いサラの声が部屋に響いた

空の鍵の欠片を拾い集めていた
ハルの手がピタリと止まった


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