顔のない恋
例年より増した、うだるような暑い夏は、冷房のガンガンきいた塾と家の往復ばかりで余り感じることなく過ぎていき、
いよいよ受験シーズンが迫っていた


ケンジとは、あのメールを受け取ってからほぼ毎日、一日に一回はメールのやり取りをしていた

日々の勉強は大変だったけど、時間を見つけてしていた

無理をしていたわけではなく、むしろケンジとのメールによって励まされたり、救われたりしていた

内容は『おはよう』『お休み』の挨拶から、今日の出来事の話…
本当に他愛のないものだった。

< 146 / 199 >

この作品をシェア

pagetop