顔のない恋
お店を後にしてすぐ、まさかの
声に呼び止められ、足を止め
恐る恐る振り向いた


「久しぶりだね、ルリカちゃん」

この雨の中傘も差さず、パーカーの
フードを目深に被り、何時から
其処にいたのか、ずぶ濡れで立っていた

「ウエハラ先輩…」

フードと暗さでその表情は分からなかったが
出で立ちと愉しげに弾むような声色が、
まるでサスペンスドラマの凶悪犯を
連想させた

途端に心臓が早鐘のように鳴り響く


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