学び人夏週間

「風呂、みんなと入んないとダメ?」

重森は視線も合わせずに小さな声でそう尋ねた。

「は? 何言ってんの?」

意味がわからない。

みんなと一緒が嫌なの?

大浴場を独り占めしたいということ?

首をかしげる私の様子を見て、彼は顔を赤くしてゆく。

「だからさ、なんつーか……」

何その顔。

これってもしかして。

「恥ずかしいの?」

重森は一瞬ピクッと顔をひきつらせて、顔を真っ赤に染めたまま「うん」と頷いた。

笑いそうになったけれど、我慢。

可愛いところもあるんじゃない。

体の変化が訪れる、多感な時期。

裸を見られるのが恥ずかしいと思う少年少女もいるだろう。

私も中学生の頃、修学旅行でみんなと風呂に入るのが恥ずかしくて、生理中だからと嘘をついて部屋のシャワーの使用許可を取った経験がある。

せっかく有名な天然温泉だったのに、今考えれば非常にもったいなかった。

だけど温泉に入れないことよりも、人に裸を見られることが何百倍も嫌だった。

体の成長の度合いは人間の完成度と比例しているような気がしていたし、初潮を迎えたのが周囲の子より少し遅かった私は、自分の成長の度合いに自信がなかったのだ。

今重森は、あの時の私と同じ気持ちなのかもしれない。

こいつ、意外とナイーブなんだ。

そう思うとまた笑いそうになったが、我慢だ。

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