月夜にヒトリゴト

最悪の一日

翌日、圭亮は、仕事で地方都市に出張していた。

なんどか、メールがあって、今夜は、飲み会だけど、早めに切り上げて、話をするという。
私は、もうだめかもしれないと思って諦めていた。
そのくらい、圭亮の言葉はハギレが悪かった。

地元に帰ってからの飲み会は、大学時代の同窓会らしかった。

私は、もしかしたら電話が来るかもしれないと待ちわびた。
結局、その日連絡はなかった。

翌朝、着信履歴があった。
早朝4時に圭亮から・・・
何かあったのかもしれない。
そう思い、早速電話をしてみる事に。

圭亮は、低い声で「家族とやり直すことにした。もう逢えない」と繰り返した。
私は、意味も分からず、電話を切ってしまった。

数分後、やはりしっかり話を聞こうと、かけなおすも、携帯は通じなかった。
後で聞いたが、私が切った電話を、投げつけて携帯が壊れてしまったらしい。

いてもたってもいられず、圭亮の自宅に電話をかけた。

当たり前だが、奥さんが出た。
慌てて一回きったものの、またかけなおし、圭亮に代わってもらった。

事情を問いただしたい私に、ただひたすら「ゴメン」と繰り返す圭亮。

近く奥さんがいるから、話しづらいのであろうと「連絡をくれるように」と伝えて、ひとまずきった。

その後、圭亮は、人が変わったようになった。
いや、圭亮は、元々、そういう人だったのかもしれない。
私が、恋をしてしまったから、ちゃんと、人となりが見えてなかっただけかもしれない。

そう、思いなおさないといけないくらい、圭亮は豹変した。
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