僕様王子に全てを奪われてⅡ
もう…銀行に行ってきたんですか?

朝一で、お金を受け取ろうとしたんですね

僕の口は思わず、緩んでしまう

こんなに早く、お金を手にしようとしていたなんてちょっと驚きました

お金への執着心には、感服しますよ

「どうしたんですか?」

僕は、にっこりとほほ笑んだ

「この小切手では、金は出せないと言われた」

ぶっきらぼうに高波さんが言葉にする

ええ、出せませんよ

その小切手では、一円も銀行では出してくれないでしょうね

だって、偽物ですから

「あれ、おかしいですね」

僕はわざとらしく、小切手を掴んで持ちあげた

「金庫からきちんと出したんですけどねえ」

僕は首を傾げた

「飯島さん、僕の使っている小切手以外のを入れました?」

僕は飯島さんに質問してみる

「いいえ…というか
金庫は聖一郎さんしか触れないでしょ?」

「ああ、そうでしたね」

< 170 / 205 >

この作品をシェア

pagetop