秘密のお勉強会
リビングに入ると、鼻をくすぐるいい匂いがした。

テーブルの上には美味しそうなご飯が並んでいて、二つ、新品のお茶碗とお箸とコップがあった。

「ささっ、椅子に座って!」

お母さんが笑顔で急かすと、二人は上品に座った。クーラーの風があつい夜の気温を下げる。
同時に手を合わせて、あいさつをした。

「「「「いただきます」」」」

久々に二人っきりじゃなくて、大勢で食べる食卓は、いつもより華やかだった。



「わっ、すごく美味しいですね!!」
「……美味しい、です。」

「あらそう? 何だかカッコイイ子に言われると、倍お得な気分になっちゃうわね〜。」

お母さんが頬に手をあてながら喜ぶ。
何歳なんだアンタはとか、お父さんに怒られるよ、とか、沢山いいたいことを喉元で飲み込んだ。

「おかわりください。」

すっかりなれた二人は、自然と笑顔で話している。
私の時はそんな笑顔見せてくれなかったのになー……と、少しだけお母さんにジェラシーを感じた。
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