時 空 堂

「いい、の。子供のために終われる人生って、いいもの・・・でしょ?」

 自分の声が出なくなってきているのが分かる。皺くちゃな手を見ていると目が霞み始めた。全身が痛みに包まれていた。


「お姉さん、もうわた・・・し、ダメ、みたい」

「・・・っ」

 お姉さんは悲痛な顔をしているように見えた。

「死は、誰にでも来るものだから・・・。悲し、そうな顔しない、で」

「どうしてっ。どうしてそんな嬉しそうな顔が出来るの?」

「だっ、て子供の頃、早く死にたいと思って・・・いたんだも、の。やっと、夢が・・・叶う」

 目を開けておくのも、もう限界だった。呼吸が上手く出来ず、体に力がもう入らない。
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