時 空 堂

「もう、お別れ・・・。時空堂のご利用、ありがとうございました」

 か細い声でお姉さんは言った。

 着物がよく似合う、綺麗なお姉さん。あなたに会えて貴重な体験をしたわ。夢のよう。こんな結末になっちゃったけど。

「えぇ、さよう、なら・・・。おに、さんとな、かよ・・・ね」

 遠くでお姉さんの驚いた声が聞こえた気がした。そのあと、看護士さんの声が飛び交うように聞こえた。

 もう目は開けれない。死ぬ前にあの子たちを一目見たかった・・・。大好き、愛してた、私の子供たち。

 罪を背負って真っ当に生きなさい。

 生まれ変わったら、また会いましょうね。

 お姉さん・・・、ありがとう。短い間だったけど感謝してる。本当よ。またね。
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