時 空 堂
其ノ五、男

「刹那、本当にごめん」

 そっと刹那の方に体を向けた。両手を取り、刹那の顔を見た。

「どうしてもいくの?」

「うん。このまま時空堂に居ても、刹那は消えてしまうからね。それはそれで切ないし、俺何も出来なかったって後悔するからさ」

 そう言うと、刹那は顔を下げた。ぎゅっと手に力が入った。

「俺はあの日にいく。そして恭華を助けてくる」

「・・・そうね。それがいいかもしれない」

 刹那は小さく微笑んだ。

「私の中の魂が救われるのなら、幸せなことだわ」

「刹那」

「何?」

 にっこりと刹那は笑って、俺を見た。

「ありがとう。恭華の入れ物になってくれて」

 驚いた顔をしたが、すぐにまたにっこりと笑った。

「それは私じゃなくてクロに言わなくちゃ」

 クロは小さく首を振った。
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