時 空 堂

 恭華を失ったあの日だ。

「潤さん?どうしたんですか?」

 黙ったままテレビを見つめる俺を不思議に思ったのか、榊さんは俺の方を覗き込んだ。鼓動を抑えようと、深く深呼吸をした。

「ううん。俺、今日出かけてくるね」

「あら、デートですか?」

 クスッと榊さんは笑った。

「・・・うん」

「どこに行くか決めてるんですか?」

「ううん。とりあえず、駅前に待ち合わせ」

「そうですか。楽しんできてくださいね」

「うん」

 そうだ。楽しまなくちゃ。恭華を救って、過ごせなかった今日を過ごすんだ。

 刹那との約束を破ってまで俺は過去に来た。振り返らないと決めていたけれど、恭華を忘れられない。

 前に進もう。恭華を助けるんだ。 
 
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