流れ星
*香織と良太の場合




「あっ!!すごっまじきれいっ!って聞いてんの…」


普段から強気な事だけが取り柄な香織だがこの時ばかりは弱気になってしまった。
というのも今日は何十年に一度の流れ星が見れる日。
渋る良太――香織の彼氏――をやっと説得してバイクで連れて来てもらったという次第である。

しかし、当の本人はずっとケータイをいじってる。
香織が不機嫌になるのも無理はないというわけだ。


付き合うときだってそうだった…

香織は高校の時、良太に一目ぼれして告白した。
いたって真剣な告白だったが返ってきた返事は

「別に…いいけど」

だった。

ちょっと冷たいなぁ、とは思ったけど…
でも、一緒にいれるだけで嬉しくてたまに見せる優しい笑顔とかが大好きだった。

だった…?
確かに香織は今心の中でだったと思った。

あたしもう好きじゃないのかな?


付きあい始めた頃は無愛想だったけど、優しかったと香織自身も感じていた。
でも、それに比べ今は…‘会いたい’とメールしても‘忙しい’の一点張り。
返事が返ってくるのはまだいい方で3日間くらい音信不通の時だってある始末。

キスだってご無沙汰だった。


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