流れ星
*ナツと愛菜の場合




いいなぁ…姉貴。


抱き合う二人を少し遠くから見るのはその弟のナツ。
と、隣にいるのはショートカットの大人の女性という感じの愛菜。
名前とは裏腹な彼女の外見がナツは好きだった。

会社のバリバリの上司だった愛菜をおとしたのはつい最近の事だった。

もっとも愛菜の方は最初から落ちていたが年下という事で踏み出せないでいただけだったのだがそれはまだナツは知らない。



「ふふ、あの二人はもうラブラブね」


香織と飲んでいた日の夜は愛菜もいたので事情は知っていた。

「何か昨日良太さんから電話きたんですけど、アメリカ行くらしいですよ。だから、もう結婚するんじゃないすか?」

言い終わって愛菜の方を見ると、少し怒ったような顔でナツを見つめてた。

「ナツ…また敬語使ってる…」


膨れるように言う愛菜がナツはものすごく愛しくなった。
上司のころからのくせが抜けなくて敬語を使ってしまうと必ず怒る愛菜。
最初の方は無意識にやっていたが最近はその反応を見るのが少し楽しくて使ったりする。
が今のは無意識だった。

「あぁ、ごめんなさい」

と言ってるそばから敬語を使ってしまったが今のはわざとだ。

もう、と言ってそっぽを向いてる愛菜。
ナツはたまに愛菜は本当に年上かと疑ってしまう時があった。

たまに酒の勢いで会社の同僚に話すとすごく変な顔をされるが、それは自分だけの特権な気がして気分が良かった。

「ごめんって、愛菜。機嫌直してこっち向いて?」


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