流れ星
*美優と康太の場合




「おい!美優!どうしたんだよ!」


駆け寄ってくる男の子――康太は状況が今一把握できないでいた。

「康太っ今ね綺麗なお姉さんに手伝ってもらってたのっ」


美優の話す言葉は主語がないと溜息をつく康太。
よく見ると、美優の足もとには美優のものと思われるものが散乱していた。

「バック落としたのか?それを拾っててもらってたのか?」

ゆっくりと美優に問いかける。
すると笑顔で美優は大きく頷いた。

「すっごく綺麗な人でびっくりしっちゃったよ!」

そういう自分も可愛いとは気付いてないのだろうか、と康太の顔が緩んだ。
康太と美優はいわゆる幼なじみという奴で高校に入って付き合い始めたばかりだった。
昔から一緒だったので美優の性格は知ってる。
マイペースで笑顔で優しい奴。
勉強はできないが元気だけは持ってる明るい美優。

下手したら美優の両親よりしってるんじゃないかと言うくらいだった。

一方美優の方は頭で理解してるというより本能的に脳が知ってるという方が正しい感じがする。

「とりあえず、拾おうぜ?早くしないと終わっちゃうんだから」

話し続けようとする美優を促しながら、しゃがみ込む。
もう少し早く来てやればよかったなぁ、とちょっと反省する。


美優の頭の上のお団子についている星がきらりと光った。
それは小さい頃康太が美優にあげたものだった。

全くこいつは、人を夢中にさせるテクを天然でやってるんだからすごいよな、と感心しながら美優のバックにものを詰め込む。



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