先生にキス〈3〉

“きっと幸歩は好きな人と、ずっと一緒にいられるよ!”


“お母さんたちみたいに、なっちゃダメだからね!”

離婚する直前の時は、そんな風に冗談ぽく笑いながら話していたこともあったっけ。



そんな風には言ってたけど、お母さんはお父さんのことが好きだった。



すごくすごく好きだった。


離婚することになってから、お母さんは平静を装っていたけど、私に隠れて夜は泣いてた。



わざと知らないふりしてたけど…出来るだけ音を立てないように静かに泣いていたお母さんは、今でも目に心に焼き付いてる。



だから今の言葉は、お母さんの心からの願い。



私も、お母さんのあの涙を見て来ているから、それがよく分かるんだ…。



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