雪に咲く向日葵
「この髪型は俺の魂よ」
「わぁ、ワッフルみたいだね」
「ワッフ……!」
こんなに授業が短いなんて感じた事はなかった。
窓越しで触れる太陽の光が、僕の針金みたいな髪を照らし上げる昼時。
黒いセーターの袖を口に当てて笑いを堪える小泉。
でも隠せてない、目が笑ってるんだから。
「もっと怖い人達かと思った」
「はは、勘弁してよ」
小泉は僕と赤桐に目を配る。
水色のシャツ、赤いハイカットの靴の柄と英語が入った白いTシャツの僕に3秒。
少し顎に髭が生えた垂れ目の赤桐に5秒。
「だって金髪だし、喧嘩とか強そうだし…」
「ま、そういう事だよ」
「え?」
「小泉が持った印象を全員が持ってくれれば、喧嘩なんかに巻き込まれないでしょ」
赤桐は本物だけど、そう付け加える僕。
赤桐は自慢げに鼻の穴を膨らませて腕を組む。
「印象で相手ビビらそうとしてる奴なんか、しょせん俺と同じ程度」
「亀は俺らがいなきゃ駄目なんだよなぁ」
そう言いながら笑う信長の様は、まるで将軍。
黒和高校の銅賞は言う事が違うと感じる。
僕がノートに文字を刻む銀賞に目を向けると呆れ顔。
金賞は…。
「でもよ信長、いつか亀に負けっかもよ」
「は、負けっか馬鹿」
「……あ゙ぁ゙?」
馬鹿に敏感だった。