電波ヒーロー
「…さっきからどうして俺を見ようとしないの?」
「…そんなこと、」
図星を指されて、あさっての方向を見た。
視界の端に、むっとした表情の伶さんが映った。
…そんな表情されても、困るんですけど。
「…しかも、敬語に戻ってるし。」
「…そう、かな」
「……、まぁ、いいや。あとでケーキ持っていったときにゆっくり聞くね。」
そう言うと、不気味なくらいにっこり笑って、伶さんが道をあけてくれたので、横を通りすぎた。
伶さんの言葉への返事は、怖くて出来なかった。