Bitter&Sweet



「ただいま」


玄関で靴を脱ぎながら言うと



リビングから姫が出て来て



「おっかえり~。お兄ちゃん
遅かったねぇ?」



姫の その笑顔を見ちゃうとね



なにもかも全部



ど~でもよくなっちゃってさ



考えるの嫌になるんだ



先の事なんて



「今晩は鯖の味噌煮だよ~」



リビングに
戻る廊下を歩きながら


「先に食べる?それともお風呂入る?」


「先にご飯にしようかな?」



「わかった。じゃ用意するね」



ニコッとオレに笑顔を向けてから



リビングに入って行った姫の背中を



きつく抱きしめたい衝動に駆られるこの気持ちは



永遠に秘密だ




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