Bitter&Sweet



困惑するオレの顔を
くすりと笑い新は



「はい、返すよ」


姫をオレの腕に渡した



腕に愛しい姫の重みと
温かな体温



「ああ、でも翠 間違えてる
[それ]は君の女ではない」


目を細めて新は
姫の寝顔をのぞき込み



「[それ]は君の妹。
いつまで恋人気取りだよ?
見苦しいな、翠


南は『みーくん』を知らない
翠は『みーくん』ではなく
『お兄ちゃん』でしょう?」



「…………なっ…」


「ああ、ケンカはあとにして
先に南を寝かせてきたら?」




胸が熱く、
苛立ちはピークに達してた



「とにかく帰れよ、新
そして、もう二度と
姫に近づくな」




そう言い放ち、
姫を部屋に運んだ



ベッドに寝かせ布団をかける




一緒に食事をする
小児科のスタッフ
てっきりナースだと思ってた



ぐっすり眠る姫の
ベッドの傍らに立ち


真っ暗な部屋の中
カーテンの隙間から
夜が、ぼおっと青く光る



………なんで新なんだ?



新と何があったんだよ?



全力疾走したあとみたいに
胸がヒリヒリ痛かった





< 194 / 261 >

この作品をシェア

pagetop