Bitter&Sweet



重苦しい気持ちで
リビングに戻ると
ソファーに新が座ってて



「なんでお前まだいるんだ?」



「あのね、酔って眠った
君の妹を親切に送り届けた
同僚にコーヒーの一杯もないの」



「なに言ってるんだ?
勝手に姫を誘って酒飲ませて
非常識なことしたのは……」



「だって南が
ぼくと食事したいって」



「え?」



「何か話したいことが
あったみたい」



「話したいこと?
なんだよそれ」



「さぁ?
ぼくも結局聞けなかった」



新はゆっくりソファーから
立ち上がり



「そんなに恐い顔しないで
お兄ちゃん
まだ何もしていないから」



「………なに言ってる、新
なんでお前が姫を…
知ってるよな?姫はオレの」



ガッとオレの肩を強く掴み新は



「南は翠の妹だよ。
兄妹は結ばれてはいけない」



お互いの息がかかる距離で
新はオレをにらみつけた



「結ばれてはいけない?
オレと姫はもう結ばれてる
なかったことになんて」



「なかったことだよ翠。
南は覚えていない。
禁忌を犯したことは
お前が。翠、ただ一人だけが
見つめている幻想だよ」





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