Bitter&Sweet
晴れ渡る空には
雲一つない
照りつける日差しが
肌に痛いくらい
7月も半ば過ぎ
約束通り
元気になった楽くんと
雅哉さんと
出かける私
楽くんのリクエストで
遊園地に来た
ゲートを抜け
楽くんは走り出す
「楽くん!はぐれちゃうよ」
慌てて追いかけた私を
楽くんは嬉しそうに振り返り
「手を繋ごうね」
私が差し出した手を
小さな手でギュウっと握りしめ
「パパー!パパも手ぇ」
後ろにいた雅哉さんに
手を伸ばす
太陽みたいな笑顔を挟んで
手を繋ぎ3人で歩き出す
満足そうにはしゃぐ楽くんと
ためらいながらも
照れたように笑う
雅哉さんの顔が
真っ直ぐ見られなかった
「ジェットコースター乗りたい」
楽くんがキラキラ目を輝かせ
ジェットコースターを指差す
「…………ま、雅哉さん」
おずおず
雅哉さんの袖を引っ張り
「私、乗り物、苦手で」
雅哉さんは きょとんとして
「だったら遊園地ダメって
言ってくれれば」
「いや、でも、楽くんが……」
情けない気持ちで
うつむくと
「はははっ」
雅哉さんの笑い声が聞こえて
「……可愛いなぁ」
ドキッ………
「大丈夫。楽は身長足りなくて
絶叫系とかの乗り物ダメだから」
……ホッとした瞬間
ふわっと髪を撫でられ
驚いて パッと雅哉さんを見ると
「ごめん」
困った顔して謝った