Bitter&Sweet




………良かった、
姫が忘れてくれて



………良かった…んだよな



なんだろう
ホッとしたのに
少しイラっとくる


いや少しじゃない
かなりイラ立ってる


くそ
あのままヤっちゃえば
良かったのに


なんて最低最悪なことを
思ってる


なんでオレの気持ちを
そんな忘れるんだよ、姫



「………簡単に忘れるなよ」



唇噛みしめたオレの耳に
かすかにシャワーの音が響いた








「気持ち悪い~
食欲ない~」



ダイニングテーブルで
朝食をとるオレの向かいで
姫が突っ伏してた



「後でいいから
味噌汁くらい飲めよ」


「ん~、ありがとう……」



ゆっくり顔を上げて
髪をかき上げる姫に
心は 苦しい



大切にしたいし
幸せになってほしい
オレは姫を幸せに出来ないし
記憶がないのも
姫にとってプラスのことだ


なのに


めちゃくちゃに
壊してやりたいし
幸せなんかどうでもいい
忘れるなんてヒドイし
オレの物になってほしい



どれも本当のオレの心
支離滅裂だ



「ふぅ………」


ため息ついて
お茶をすすると


「あ」


姫が思い出したように
声を上げた


「ね、私、昨日
あの話お兄ちゃんにした?」





< 240 / 261 >

この作品をシェア

pagetop