Bitter&Sweet
神さまの目隠し

南サイド





川沿いのキャンプ場


青い空に白い雲
木々の濃い緑に
太陽の光を反射させる川
澄んだ風




「キャンプ日和だねー!」



辺りをキョロキョロして
大きく伸びをしたりしてる間に
お兄ちゃんはてきぱきと
テントを張っていた



「二人一緒に休み取れて
良かったね」



「そうだな」



夏期休暇と言っても
もう9月だから


広いキャンプ場には他に
学生みたいなグループが
いるだけだった
それも かなり遠くに





このキャンプ
ある大きな決心をして来た



このキャンプで
思い切り楽しい思い出を
お兄ちゃんと作って


自分の想いに
きっぱり終止符を打つんだ



いつまでも
お兄ちゃんが好きなんて気持ち持ってちゃいけないもん……



お兄ちゃんの好きな人とか
美紅さんに
ヤキモチなんて妬きたくないし



いい加減ちゃんと
普通の兄妹になりたいよ……





「ねぇ、姫!」


テントの中に荷物を入れてた
お兄ちゃんが私に



「枝、拾いに行こう」



「枝?」



枝って何するの?
ご飯ならコンロ持って来たのに



首を傾げる私に


「夜、焚き火したら
綺麗だよ、きっと」

そう私に向けられる
お兄ちゃんの笑顔は
ドキドキする



胸がギュッと苦しくなる


本当はいけないことだけど
今日だけは


今日だけは許してね


今日だけ思う存分
恋をして



明日になったら
ちゃんと忘れるから




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