Bitter&Sweet




当直だった深夜



コーヒーを買いに病棟の暗い廊下を歩いていると



エレベーターの前



白い白衣姿のヒトが
しゃがみ込んでいた



――――――誰だ?
白衣って事はドクターかな?




「どうしました?
大丈夫ですか?」



そう声をかけ、薄い肩に手を置く



「……大丈夫です」


腰まである長い黒髪を後ろで一本に結って
黒ぶちの眼鏡をかけた女性



―――――見た事ないな



とりあえず彼女を支え
すぐそこにある自販機の前のベンチに座らせた



煌々と白い光を放つ自販機の明かりに照らされた彼女の顔色は青白く冷や汗をかき



脈をとると早い




彼女は脈をとるオレの手から
そっと手首を離して



その時、一瞬、手首に走る
白い盛り上がった傷痕が見えた




「精神的なモノだから
しばらく休めば落ち着くわ」



そう呟いた彼女の暗い表情を見てから



オレは自販機で水を買って差し出した



「ありがとう」


彼女は水を受け取りながら


「――――――鈴木 翠 先輩」



…………先輩?



口元は微笑んでいたけど
彼女の目は怒っているように
見えたんだ――――――――



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