Bitter&Sweet
「……オレは美紅さんと結婚しません。」
「私は翠さんと結婚したいです
いいですよ
翠さんは愛する人を愛人にすればいい」
バカじゃないのか?
顔色変えずにそんな事を言う
美紅さんが気持ち悪く感じて
「すみませんが失礼します
あなたの考えは理解出来ない」
カタンと立ち上がり
タクシー代をカウンターに置くと
「お金は結構よ。父がちゃんとくれてるから」
美紅さんは一万円札を乱暴に突っ返してきた
オレも 何だか腹がたって
「そうですか」と刺々しく言いバーを出た
ホテルを出て空を見上げた
街が明るすぎて星はほとんど見えなかった
タクシーに乗り込み
美紅さんをうまく かわせなかった事を反省したけど
――――愛人にすればいい
平然とそんな事を口に出来る美紅さんに嫌悪感を抱いて
……早く姫に会いたいな
タクシーの窓から見える
オレンジ色の街灯の明かりを見て
早く、早く 姫の顔が見たい
こんな風に疲れた夜は
姫の顔を一晩中 見つめていたい