Bitter&Sweet



……………ドサッ


暗いベッドルーム


姫をベッドに降ろして



ギシッ……

片膝をつくとマットがきしんだ



姫の顔の横に右手をつき
真上から寝顔を見つめる



ドキドキ ドキドキ ドキドキ


苦しいほど胸は激しく鼓動をうち


左手でネクタイを外した



シャツのボタンを外しながら



スゥ……スゥ……
規則正しい姫の寝息を聞く




可愛い、愛しい、抱きしめたい
すごく好きだ。大好きだ


姫が好きだ―――――――



誰にも渡したくない



「……愛してるよ、姫」





姫の頭を撫でて ゆっくり唇を近付けると………



「…………う……ん…
ダメ………だよ……」



え?



「………だから………
病院の廊下は
走っちゃいけましぇん」




「…………むにゃ…む……」




姫が モゴモゴ口を動かしながら寝言を言って



……病院の廊下は
走っちゃいけましぇん



「………フッ……」


オレは姫の上から身体を起こし
ベッドに座って



「アハハハ……
なんだよ、その寝言!」



きっと小児科で子供にいつも言ってる事なんだろう



「夢の中まで仕事してんの?
姫……………」



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