キミのことが好きでした


放課後の玄関で
キミが出てくるのを待ちます

教室だと
なんだか恥ずかしくて

タツもいるのに

遠慮のない僕を
見せてしまいそうで

僕なりに
いろいろ考えていました



「あ、颯。何してんの」

「ぅ…、タツ!」



でもキミより先に

タツの方が
出てきてしまいました



タツは声変わりした
低くて優しい声を出します

まだ完全に
変わりきってなかった僕は

なんとも中途半端な
かすれた声を出します



「別に…」

「あいつに用事?」



タツがあいつと呼んだのは
キミのことです





< 23 / 70 >

この作品をシェア

pagetop